ミラクル7号

 『ミラクル7号』を見た


 やっとこさ、なのかな。公開三週目の週に劇場に足を運ぶ事になったのだが、公開されてからそれまでの間情報の収集は行わなかった。まぁ、コレはたいていのタイトルの場合そうなんで『ミラクル7号』が例外、という訳では無いんですけど。
 
 それが失敗。期待を高めていたぶん裏切られてしまった。それは自分の所為なんですけど。
 何がか? と言うと、それは選んだ劇場が“日本語吹き替え版”の上映館だったことです。

 “チャウ・シンチー”の映画で見た事があるものと言えば『カンフーハッスル』。コレは2005年の正月第一弾の映画として見に行きました。説明するまでも無く、同タイトルは爆笑アクションコメディで、笑いのシーンでは劇場全体が揺れたほどでした。
 観客数は劇場が満席…には程遠いとしても、同劇場の平均を超える入場者数にはなっていたかな? と思います。

 そして重要(?)な事は、それは字幕版であった、と言うこと。

 で、もっと重要なのがそれ以前に見た映画『少林サッカー』。これは劇場ではなくDVDで。なぜDVDで見る運びになったかと言うと、上陸が遅れに遅れたから、日本上陸以前に輸入版のDVDが先に上陸してしまったからだ。
 同DVDは輸入版ながらリージョンコード2と言う事でPS2でも問題なく再生できる。だから視聴には何の問題も無かった。
 ただ、当然、言語は広東語で字幕にしてみても英語。日本語なんてものは一片もありはしない…。

 が、それは何の問題にもならない、映像から伝わってくる物だけで十分楽しめるのだ。
 どこぞの邦画のように大スクリーンに映す事を前提に作られた“劇場映画”で“合体”なんてテキストを流すのとは大違い。コレこそ説明不要の映像の力と言うものだ。

 偏ってるけどね。人心を掌握する力には変わりない。

 じゃあ話を少し戻して、言語は不要か? というと当然そんな事も無いんですが。

 『ダウンタウンのごっつうええ感じ』で毎度(?)の事ながら笑う方向を誘導してくれない、当節で言えば不親切なコントの中に”取り調べ”をテーマに扱ったものがあった。

 警察の取調べ室を舞台に、ホンコンが容疑者、松本が取り調べを行う刑事、そして板尾が記録係、といった体のもので、笑いを取るための行動は全て松本によって行われる、最後に板尾がそれに対して冷徹な評価を下ろすにいたってオチになると言う類の物だった。
 このコントの中、変則的な物として、松本と一緒に今田が取り調べを行うと言うものがあった。

 松本はフランス語(デタラメ)、今田は広東語(デタラメ?)で成立の使用が無い取調べ。要は他のキャスト一切が舞台の一部に成ったに過ぎない一人芝居を延々と尺中続けるだけ、といった回のものがあった。
 コレがこのコントの中では一番面白い回だった。
 兎に角、今田には広東語の語彙が、松本のフランソワーズ・モレシャンの物まね崩れを優に圧倒する程あり、言葉の意味など別にして広東語の響きだけで笑う事が出来た。

 その回のオチは「オマエ卑怯だわ」の松本の声だったと思う。

 じゃ、要は広東語じゃなかったからいけなかったのか?

 とすると、それもちょっと違うかもしれない。要は言葉、音のリズムだろうか。

 日本語吹き替えのキャストと言えば(覚えているだけで間違いかもしれないが)“チャウ・シンチー”に“山寺 宏一”をはじめ、矢島 晶子、藤原 啓治、田中 真弓、菊池 こころ、とアニメ畑ではフツーにしてべテランなキャストなんですが…やはり、日本語のリズムの中での演技。

 コレが違和感…ではなくキャラクターを殺しているようにさえ感じてまう。

 やっぱりベストキャストと言えば、もう無理な話だけど“広川 太一郎”かな。あれぐらいまくしたてて広東語のリズム、なんだろうか。
 本来の会話の意味のウン倍といった装飾、しかも本筋とは無関係!!の会話量なのだが言葉の量としては丁度いい釣り合いになるといった感じ、かな?

 
 だから、日本語でまんま吹き替えられると“イヤミ”なキャラクターはホントに救いようが無いほど“イヤミ”にしか感じる事が出来ず、画面からユーモラス成分が滲み出ないのだ(しかもべテラン声優が中の人をやっているだけに上手いのだ)。

 と言うわけで、この映画(吹き替えでみると)話の半分が辛くて辛くて仕方が無い映画になっってしまうのだ。

 『少林サッカー』『カンフーハッスル』『ミラクル7号』と貧乏生活に焦点を合わせて3作目に成るのだが、今回の貧乏生活は身につまされるものばかりで笑う事が出来ません。

 『自分は学がなかったから貧乏なんだ。子供にはチャンスを与えたい』と低賃金重労働をする傍ら、その子供は学校で格差社会の縮図に晒される。

 笑えないんだよなぁ…。

 えっと、でも半分は笑えますけどね。

 笑いの方も半分だけど。

 相変わらず“チャウ・シンチー”キャスティングということで男役を女性キャストが演じたり、その逆もしかり、と言うことで、しかもそれが自然、というのも凄いかも。

 ナナちゃん(ミラクル7号)はギリギリカワイイ?

 キリンの電車内広告を見続けてもても不自然感を感じない人なら大丈夫(“あまりにも感”が強くて何を宣伝しているのか忘れてしまった)。そうでない人はNG。


画像




 ドラえもんにオマージュ感たっぷりの映画ではあり、スネ夫、ジャイアン(ジャイ子も!?)を彷彿とさせるキャラクターが登場するのも事実。
 だが、一番違うのはそのスネ夫とジャイアンの立ち居地。これが間逆なのだ。 
 腕力と金の力の対比がアニメ漫画世界とは逆であり、金の力がある奴が権力を得る、と言う構図になっているのだ。

 ね、リアル過ぎて嫌でしょ。

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この記事へのコメント

2008年07月15日 11:54
おじゃまします。
わたしも同じ意見です。
やはり安易な吹き替え版は作品の質さえ落としますね。せっかくのおいしい料理に、まずいソースをかけたよう。
そして、貧乏の質も妙にリアルで物語に合ってませんでした。次回の西遊記に期待です。

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  • ミラクル7号がもたらしたものは何か

    Excerpt: 最近重たい映画ばかり見てきたので、チャウ・シンチー監督のミラクル7号を見てきた。スピルバーグのETと異なり、ミラクル7号の真の能力をだれも見ること無く終わってしまうところが良かった。結局のところ人間は.. Weblog: オヤジの映画の見方 racked: 2008-07-15 16:44